建設業におけるIT導入補助金の活用方法は？
建設業に特化したITツールはどんなものがある？
建設業で、IT導入補助金を活用したい方も多いでしょう。
本記事では、建設業に特化したIT導入補助金の申請枠や補助額、ITツールの紹介などをまとめています。
建設業ならではの課題や現状、補助金を活用するメリット、申請事例などもまとめているため、ぜひ参考にしてください。
建設業界におけるDXの課題や現状は？
建設業界では、労働力不足や職人の高齢化が進み、技能継承が困難な状況に加え、若年層の担い手不足が深刻化しています。
また、工期短縮や厳しい納期の影響で長時間労働が常態化し、働き方改革への対応が急務です。
BIMやIoT、AIといった最新技術が登場しているものの、デジタル化の遅れやITリテラシー不足が中小企業を中心に課題となっています。
さらに、生産性の低さ、コスト管理の難しさ、受発注の多重構造による非効率が業務効率化を妨げています。
これらの課題を解決するためには、デジタル技術の導入や業務効率化、および持続可能な取り組みが必要不可欠です。
例えば、BIMやIoTツールを導入することで施工管理や工程の可視化が進み、生産性向上や業務効率化が実現します。
また、RPAやクラウド管理ツールを活用すれば、事務作業や受発注業務を自動化し、業務負担の軽減が可能。さらに、環境配慮型のシミュレーションやデータ分析ツールを使えば、コスト削減と環境負荷の低減も可能です。
IT導入補助金を活用することで、これらの高機能なITツールの導入コストを抑えられるため、特に中小企業でもデジタル化を推進しやすくなります。
建設業界でIT導入補助金2025の対象となるITツールを一部紹介
建設業でIT導入補助金の対象となるITツールをいくつか紹介します。
建設業に特化したソフトウェアやよく申請されるITツールをまとめているため、参考にしてください。
建設業界でよく申請されるCADソフト
建設業において利用されるCADソフトの例を以下にまとめました。
CADソフトとは
コンピュータを使って設計図面やモデルの作成・編集を行うためのソフトウェアです。
主に建築、製造、機械設計などの分野で利用され、2D図面の作成から3Dモデルの設計まで対応。
手作業に比べて高精度な設計が可能であり、作業効率や品質向上に貢献するため、業務のデジタル化や生産性向上に欠かせないツールです。
| ソフトウェア | 特徴 |
|---|---|
| AutoCAD | 2Dおよび3D設計の業界標準。建築図面や施工図作成に利用される。 |
| Revit | BIM対応の3D建築設計ソフト。設計から施工、運用まで一元管理。 |
| ARCHICAD | BIM対応CADソフト。デザインから構造設計、ビジュアル化まで対応。 |
| Vectorworks | 2D/3D設計を統合。建築やインテリア設計に適した高い自由度。 |
| GLOOBE | 国産BIM対応CADソフト。図面作成や積算業務を効率化。 |
| BricsCAD | AutoCAD互換の2D/3D CADソフト。高いコストパフォーマンス。 |
| SketchUp | 3Dモデル作成を手軽に実現。設計やビジュアル化に優れる。 |
| SolidWorks | 3D CADソフト。構造部品設計や複雑なモデル作成に利用。 |
| Dra-CAD | 国産2D/3D CADソフト。建築設計業務や申請書類作成を効率化。 |
建設業界でよく申請される会計や受発注ソフト
建設業でも、会計ソフトや受発注ソフトは頻繁に申請されるITツールの一つです。
以下、人気のソフトウェアをまとめたので、参考にしてください。
| ソフトウェア | 特徴 | 詳細 |
|---|---|---|
| 弥生会計 | 中小企業向けの業務効率化を支援する会計ソフト。経理業務の自動化と簡単な操作が特徴。 | こちら |
| freee会計・販売 | クラウド型の会計・販売ソフト。建設業の経理業務を自動化し、リアルタイムで財務状況を把握可能。 | こちら |
| 勘定奉行クラウド・奉行Edge 受発注クラウド | 建設業の複雑な経理業務に対応。クラウド型でどこからでもアクセスでき、作業効率を向上。 | |
| マネーフォワードクラウド会計・債務支払 | クラウド型会計システム。収支管理や業務フローを効率化し、請求書・仕訳作業を自動化。 | こちら |
| PCA会計 | 中小建築企業向け。会計処理を正確かつ効率的に行うオンプレミス・クラウド対応の会計ソフト。 | |
| 楽楽精算・販売 | 発注書や受注データの電子化を実現し、業務のペーパーレス化と効率化を支援。 | こちら |
建設業界でよく申請される業務効率化・売上アップのITツール。施工管理システムや積算ソフト
業務効率化・売上アップのITツールの例を以下にまとめました。
導入したいツールが定まっていない場合はぜひ参考にしてください。
| ツール名 | 特徴 | ツール例 |
|---|---|---|
| クラウド施工管理ツール | 工事進捗や工程をクラウド上で一元管理し、現場とオフィスの情報共有を効率化。ペーパーレス化を実現。 | ANDPAD、KANNA |
| RPAツール（ロボット自動化） | 定型業務（見積書作成、請求書発行、データ入力など）を自動化し、人的リソースの負担を軽減。 | UiPath、WinActor |
| タスク・勤怠管理ツール | 現場作業員のタスク管理や勤怠管理を効率化し、労働時間の可視化や生産性向上を実現。 | KING OF TIME、ジョブカン |
| 会計・経理クラウドツール | 経理業務の自動化・効率化を実現し、リアルタイムで財務状況を把握可能。ペーパーレスな請求書管理も対応。 | freee会計、マネーフォワード |
| ドキュメント管理システム | 図面や契約書などの書類管理をデジタル化し、検索や共有を効率化。現場とオフィス間の連携を強化。 | Dropbox、Box |
IT導入補助金2025が活用できる建設業界の対象条件
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が対象となります。
また、一人親方など個人事業主の方も対象となります。
具体的な対象者は以下のとおりです。
| 業種 | 資本金 | 従業員 |
|---|---|---|
| 建設業 | 3億円 | 300人以下 |
建設業界で申請できるIT導入補助金2025の枠は？補助率や補助額など紹介
IT導入補助金2024の申請枠は以下となります。
| 申請枠 | 概要 | 補助率 | 補助額 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| 通常枠 | 課題に合わせたITツール導入を支援。業務効率化、生産性向上を目的とする。 | 1/2〜2/3 | 最大450万円 | 業務管理、顧客対応、会計・労務管理、受発注管理など業務の効率化を図るITツール。 |
| インボイス枠（対応類型） | インボイス制度対応のためのITツール導入を支援。 | 2/3〜4/5 | 最大350万円 | 会計ソフト、請求書管理ソフト、電子インボイス対応ツール。 |
| インボイス枠（電子取引類型） | 電子取引（電子契約、電子請求書等）に対応するためのITツール導入を支援。 | 1/2〜2/3 | 最大350万円 | 電子取引管理ツール、受発注システム、電子帳簿保存対応ツール。 |
| セキュリティ対策推進枠 | サイバーセキュリティ対策強化のためのITツール導入を支援。 | 1/2 | 最大100万円 | セキュリティ強化ツール（ウイルス対策、情報漏洩防止、アクセス制御など）。 |
| 複数社連携IT導入枠 | 複数の事業者が連携し、共同でITツールを導入する際の費用を支援。 | 1/2〜4/5 | 最大3,000万円 | サプライチェーン全体の管理、連携効率化、業務統合を図るためのITツール。 |
建設業において、基本的に活用されるのは「通常枠」と「インボイス対応類型」の2つです。
建設業に特化したITツールの導入は一般的に通常枠、会計ソフトや受発注ソフトの申請はインボイス対応類型。
インボイス対応類型はパソコンなどのハードウェアも対象となります。
建設業界でIT導入補助金を活用した申請事例
建設業でIT導入補助金を活用した申請事例を紹介します。
具体的にいくら補助され、いくら実費で支払うのかイメージしながらチェックしてみてください。
建設業界の申請事例①
通常枠での申請
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| AutoCAD Plus | 462,000円/2年間 |
| freee会計 スタンダード | 215,520円/2年間 |
| 導入サポート | 700,000円 |
| 保守サポート | 600,000円 （5万円x12か月） |
| 合計の申請額 | 1,977,520円 |
| 合計の補助額 | 988,760円 |
| 実費 | 988,760円 |
建設業界の申請事例②
通常枠での申請
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| マネーフォワード クラウドビジネス | 119,520円/2年間 |
| Zoho CRM プロフェッショナル | 100,800円/2年間 |
| 導入サポート | 700,000円 |
| 保守サポート | 600,000円 （5万円x12か月） |
| 合計の申請額 | 1,520,320円 |
| 合計の補助額 | 760,160円 |
| 実費 | 760,160円 |
建設業界の申請事例③
通常枠での申請
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| freee会計 スタンダード | 215,520円/2年間 |
| HubSpot Starterプラン | 57,600円/2年間 |
| kintone スタンダードコース | 43,200円/2年間 |
| 導入サポート | 700,000円 |
| 保守サポート | 600,000円（5万円x12か月） |
| 合計の申請額 | 1,616,320円 |
| 合計の補助額 | 808,160円 |
| 実費 | 808,160円 |
建設業界でIT導入補助金2025を活用してITツールを導入するメリット
建設業でIT導入補助金を活用してITツールを導入するメリットは以下が挙げられます。
・労働力不足や技能継承の解決
・長時間労働の是正と生産性向上
・デジタル化の遅れの解消
・コスト管理と業務効率化の実現
・環境負荷の低減と持続可能な経営
IT導入補助金を活用することで、製造業の課題である労働力不足や技能継承の問題を、BIMやIoTツールの導入によって解決できます。
また、長時間労働の是正や生産性向上も、クラウド施工管理や工程管理システムの導入により実現可能です。
さらに、デジタル化の遅れを解消し、受発注管理や会計システムを導入することでコスト管理の精度が向上し、業務効率化も図れます。
環境への配慮としては、シミュレーションツールやデータ分析を活用することで環境負荷を低減し、持続可能な経営につながります。
IT導入補助金を利用すれば、これらのITツールの導入コストを抑え、デジタル化を推進しやすくなるため、おすすめです。
建設業界でIT導入補助金2025を活用する際のよくある質問
建設業で補助金を活用する際のよくある質問をまとめました。
一人親方などの個人事業主も対象になる？
はい、対象です。
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者を対象としており、個人事業主もこれに該当します。
ただし、以下の3点が必要なので、事前に準備しておきましょう。
・運転免許証または住民票
・所得税の納税証明書
・確定申告書の控え
建設業に特化したITツールは？
建設業に特化したITツールは以下のようなものが挙げられます。
・CADソフト
・積算ソフト
・営業支援ツール
・原価管理ソフト
・人事労務システム
それぞれ、目的や予算などに合わせて、自社に適切なサービスを選定しましょう。
おすすめの積算ソフトは？
建設業でおすすめの積算ソフトは以下のようなものが挙げられます。
・アイピア
・せきさん係長
・Neo仕上
自社の課題や目標を明確にし、必要であれば、他のITツールとあわせて検討してください。
まとめ
本記事では、建設業向けIT導入補助金の申請枠や補助額、対象ITツールを解説しました。
建設業界特有の課題（労働力不足や生産性向上）に対応するため、CADソフトや積算ソフト、クラウド管理ツールなどを導入することで業務効率化が可能です。
また、補助金を活用すればITツールの導入コストを抑え、中小企業や個人事業主でもデジタル化を推進しやすくなります。
自社の課題や目標に適したソフトウェアを選定し、お得にITツールを導入するために役立ててください。
CAREARCでは、IT導入補助金支援事業者として、これまで200社以上の申請サポートをしてきました。
相談から申請サポート、アフターフォローまで行っているため、お気軽にお問い合わせください。
