不動産業におけるIT導入補助金2025の活用方法！賃貸業の大家も対象？

不動産業でIT導入補助金の活用を検討している方も多いでしょう。

本記事では、不動産業におけるIT導入補助金の対象事業者や申請枠、補助額などを解説します。

また、申請した際の料金シミュレーションや対象となるITツール例などもまとめているため、ぜひ参考にしてください。

不動産業におけるDXの課題や現状は？

不動産業界では、DXが進む一方で、依然として多くの課題が残っています。

紙ベースでの契約手続きや、現場とオフィス間での情報共有が十分にデジタル化されておらず、業務効率の低下や人為的ミスが発生しやすい状況です。

特に、以下の点が課題として挙げられます。

不動産業の課題	詳細
契約業務のデジタル化が進まない	・多くの物件管理や契約手続きが紙媒体で行われており、デジタル化への移行が遅れている。 ・電子契約システムの導入が進んでいるものの、利用者側のリテラシー不足や法的リスクへの懸念が壁となっている。
現場管理とオフィス間の情報連携不足	・建物管理や物件点検などの情報が現場とオフィス間でスムーズに共有されないため、対応が遅れる。 ・データ入力が手動で行われるため、誤入力や更新漏れが発生しやすく、結果として業務効率が下がる。
顧客対応のデジタル化が不十分	入居者や物件オーナーからの問い合わせ対応が電話や対面が主流であり、チャットボットや自動応答システムの導入が進んでいないため、対応に時間がかかる傾向がある。
データ管理が分散している	物件情報、入居者データ、修繕履歴などがバラバラに管理されており、一元管理ができていないためにデータ活用が困難。

これらの課題を解決するために、IT導入補助金2025を活用し、電子契約システムや業務管理ツールを導入する動きが広がりつつあります。

しかし、補助金を活用したITツールの導入が十分に普及しているとは言えず、まだまだ課題解決には至っていないのが現状です。

不動産業でIT導入補助金2025の対象となるITツール例

不動産業界では、IT導入補助金を活用して業務効率化を図る企業が増えています。

以下では、不動産業でよく活用されるITツールを紹介。IT導入補助金2025の対象となるツール例もまとめているため参考にしてください。

不動産管理・賃貸管理システム

不動産管理システムや賃貸管理システムは、物件情報や入居者管理を一元化するクラウドツール。

不動産業界では、物件ごとの契約情報や入居者データを手作業で管理すると煩雑になりやすく、管理ミスが発生しがちです。

これらのシステムを導入することで、物件情報や入居者データをクラウド上で一括管理でき、家賃管理や修繕履歴の把握が容易になります。

家賃滞納の自動チェックや入居者ポータルの活用により、管理コストを削減し、業務効率を向上させる効果が期待できます。

特に、リアルタイムでのデータ共有が可能なため、管理担当者間の情報連携がスムーズに。

導入初期には現場スタッフのITリテラシー向上が課題となりますが、補助金を活用して教育プログラムを導入することで解決が可能です。

Rebro（レブロ）	・賃貸管理システムで、物件情報と入居者管理が一元化 ・家賃管理や入金確認を自動化し、リアルタイムで情報共有が可能
いえらぶCLOUD	・賃貸物件の情報管理や仲介業務を効率化 ・入居者ポータルで家賃支払い状況を確認でき、オーナーへの報告も自動化

契約・顧客・問い合わせ管理システム

契約管理システム、顧客管理システム（CRM）、問い合わせ管理システムは、不動産業務における契約書の作成・管理や顧客対応を効率化するツールです。

不動産業界では、物件契約や入居者対応が煩雑になりやすく、紙ベースでの管理が原因でトラブルが発生することも少なくありません。

電子契約システムを導入すれば、契約書の作成・署名がオンラインで完結し、郵送や対面の手間を省けます。

また、CRMを活用すれば、入居者情報や問い合わせ履歴を一元管理でき、対応漏れの防止が可能です。これにより、顧客満足度が向上し、契約締結が迅速化されます。

ただし、利用者側のITリテラシーが低いとシステム運用が停滞するため、補助金を活用してトレーニングを実施するとよいでしょう。

ITツール	特徴	詳細
クラウドサイン （電子契約システム）	・契約書の作成・締結をオンラインで完結 ・電子署名により法的効力が担保され、安全性も確保	補助金の活用方法の詳細
Salesforce （顧客管理システム）	・顧客データをクラウド上で一元管理し、営業活動を可視化 ・入居者からの問い合わせ管理やフォローアップが容易	補助金の活用方法の詳細

案件・請求管理システム

案件管理システムと請求管理システムは、営業案件や家賃請求を効率化するためのツールです。

複数の契約案件や家賃収支を手作業で管理すると、確認漏れや計算ミスが発生しやすくなります。

案件管理システムを導入することで、営業活動や契約進捗をリアルタイムで把握でき、優先度の高い案件を明確化できます。

一方、請求管理システムでは、家賃や管理費の自動請求ができ、入金管理が効率化。

手作業によるミスを防ぎ、収支報告も迅速に行えるため、オーナーへの説明責任も果たしやすくなります。

導入当初のデータ移行が課題ですが、補助金を利用してシステム設定をサポートすることで、スムーズな移行が可能です。

ITツール	特徴	詳細
HubSpot Sales Hub （案件管理システム）	・営業案件を可視化し、進捗管理をサポート ・タスク管理機能で優先度付けが容易	補助金の活用方法の詳細
kintone（キントーン） （案件管理システム）	・不動産専用のカスタマイズが可能 ・案件進捗をデータベース化し、管理がスムーズ	補助金の活用方法の詳細
マネーフォワード クラウド （請求管理システム）	・家賃や管理費の自動請求と入金管理が可能 ・レポート機能で月次収支報告を自動作成	補助金の活用方法の詳細
freee会計 （請求管理システム）	・不動産収支の管理がシンプル ・オーナー向け収支レポートを自動生成	補助金の活用方法の詳細

IT導入補助金2025が活用できる不動産業の対象条件

IT導入補助金は、不動産業を含む中小企業や小規模事業者が対象です。

不動産業の場合、中小企業として申請するためには「資本金3億円以下」「従業員数300人以下」である必要があります。

小規模事業者として申請する場合は「従業員数20人以下」が条件です。

賃貸物件を管理する大家（オーナー）も条件を満たせば申請が可能。特に、複数の賃貸物件を管理し、家賃管理や契約業務を行っている大家は、不動産管理システムや電子契約システムを導入することで、業務効率化を図れます。

不動産業	資本金	従業員
中小企業	3億円	300人以下
小規模事業者	–	20人以下

細かい条件については、以下でまとめているため参考にしてください。

不動産業で申請できるIT導入補助金2025の枠は？補助率や補助額など紹介

不動産業でIT導入補助金2025を活用する際には、主に「通常枠」と「インボイス対応類型」の2つの申請枠があります。

それぞれの申請枠の特徴を理解し、自社のニーズに合った枠を選択することが重要です。

以下では、通常枠とインボイス対応類型の補助率・補助額・対象経費などについてまとめています。

IT導入補助金2025 通常枠

項目	通常枠A類型	通常枠B類型
補助率	1/2〜2/3
補助額	5~150万円未満	150~450万円以下
必要プロセス	1つ以上	4つ以上
賃上げ目標	加点	必須
対象経費	・ソフトウェア ソフトウェアの「購入費」「クラウド利用費（最大2年分）」 ・オプション ・導入関連費
具体的なプロセス	① 顧客対応・販売支援 ② 決済・債権債務・資金回収管理 ③ 供給・在庫・物流 ④ 会計・財務・経営 ⑤ 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム ⑥ その他業務固有のプロセス ⑦ 汎用・自動化・分析ツール

通常枠は、不動産業でITツールを導入し、業務効率化やDX推進を図るための基本的な枠組みです。

不動産管理システム、顧客管理システム、電子契約システムなど、業務改善に直結するツールが対象となります。

補助率は1/2〜2/3で、補助額は最大450万円まで支給され、クラウド利用費やソフトウェア導入費などが補助対象です。

例えば、不動産管理システムを導入して物件管理の効率化を図りたい場合や、電子契約システムを利用して契約締結のスピードアップを目指すケースで活用できます。

通常枠は幅広いITツールに対応しているため、業務全般のデジタル化を推進したい企業におすすめです。

IT導入補助金2025 インボイス対応類型

項目	インボイス対応類型
補助額 補助率	会計・受発注・決済ソフト	【小規模事業者】 ・50万円以下：4/5 ・50〜350万円以下：2/3 【中小企業者】 ・50万円以下：3/4 ・50〜350万円以下：2/3 ※50万円以下は1機能、50〜350万円は2機能以上を有するのが必須
	PCやタブレット	・10万円以下：1/2
	レジや販売機	・20万円以下：1/2
対象経費	・ソフトウェア 会計・受発注・決済ソフトウェアの「購入費」「クラウド利用費（最大2年分）」 ・オプション ・導入関連費 ・ハードウェア

インボイス対応類型は、インボイス制度に対応するためのITツール導入に特化した枠です。

不動産業では、家賃管理や収支報告を行う際、消費税の適正処理が求められるため、インボイス対応型の会計ソフトなどが対象です。

補助率は1/2〜4/5と通常枠よりも高く、補助額は最大350万円まで支給されます。また、パソコンやタブレットなどのハードウェアも対象経費となるのが特徴です。

例えば、インボイス対応型のクラウド会計ソフトを導入し、家賃収入や管理費の正確な請求書発行を自動化するケースや、電子契約システムを利用して消費税が正確に表示される契約書を作成するケースで活用できます。

不動産業でIT導入補助金を活用した事例

不動産業界でも、IT導入補助金を活用することで、業務効率化やコスト削減に成功した事例が数多くあります。

以下では、実際の導入ITツールとその効果を示す料金シミュレーションを含めて、3つの具体例を紹介します。

事例1：賃貸管理システム導入で家賃管理を効率化

申請枠：インボイス対応類型

項目	金額
マネーフォワード クラウド ビジネス	119,520円/2年間
導入サポート	300,000円
保守サポート	300,000円
PC購入	200,000円
ソフトウェアや導入関連費の補助額	535,235円
PCの補助額	100,000円
合計の補助額	635,235円
実費	284,285円

【課題】
賃貸物件を管理する不動産会社では、家賃収入や管理費に関する請求書を手作業で発行していたため、インボイス対応が追いつかず、消費税申告や記帳が煩雑になっていた。また、入居者やオーナーに発行する請求書のフォーマットがバラバラで管理が大変だった。
↓
【導入効果】
マネーフォワード クラウドを導入することで、インボイス対応の請求書が自動生成され、家賃収入や管理費の処理がスムーズになった。消費税対応や記帳作業が自動化され、税務処理の効率化にも成功。さらに、クラウド上で請求書を一元管理できるため、オーナーや入居者への報告も迅速化した。

事例2：電子契約システムで契約管理を効率化

申請枠：通常枠

項目	金額
クラウドサイン Corporateプラン	739,200円/2年間
導入サポート	600,000円
保守サポート	400,000円
合計の申請額	1,739,200円
合計の補助額	869,600円
実費	869,600円

【課題】
賃貸契約や管理委託契約の際、契約書を紙ベースで作成し、郵送していたため、契約締結までに時間がかかり、契約書管理が煩雑であった。
↓
【導入効果】
クラウドサインを導入することで、オンラインで契約書の作成から署名までが完結し、郵送コストや時間を削減。

事例3：顧客管理システム導入で問い合わせ対応を迅速化

申請枠：通常枠

項目	金額
Salesforce Sales Cloud Enterprise	475,200円/2年間
導入サポート	500,000円
保守サポート	500,000円
合計の申請額	1,475,200円
合計の補助額	737,600円
実費	737,600円

【課題】
入居者からの問い合わせが増加し、対応履歴を紙やExcelで管理していたため、過去のやり取りを追うのが困難だった。クレームが発生しても、情報がバラバラで迅速な対応ができなかった。
↓
【導入効果】
Salesforceを導入し、入居者からの問い合わせやクレーム対応を一元管理できるようになった。対応履歴がリアルタイムで確認できるため、担当者が交代しても過去のやり取りを把握でき、迅速な対応が可能に。これにより、顧客満足度が向上し、クレーム件数が減少した。

不動産業でIT導入補助金2025を活用してITツールを導入するメリット

・コストを抑えつつ業務効率化が図れる
・データ管理が楽になり、スムーズな顧客対応や契約業務ができる
・導入サポートや運用サポートも受けられる

IT導入補助金を活用して不動産業でITツールを導入することで、業務効率化やコスト削減が実現でき、契約業務や顧客対応もスムーズになります。

特に、インボイス制度対応型ツールの導入により、法令順守を徹底できる点が大きなメリットです。

さらに、補助金を使えば初期費用を抑えられるだけでなく、導入サポートや運用サポートも支援事業者から受けられるため、システムの現場定着がスムーズになります。

まとめ

不動産業界では、DX推進が求められる一方で、契約業務のデジタル化や顧客対応の迅速化が進まず、業務効率の低下が課題となっています。

特に、契約書類の紙管理や現場とオフィス間での情報共有が不十分であり、顧客対応や家賃管理も手作業が多く非効率です。

これらの課題を解決するためには、IT導入補助金を活用して不動産管理システムや電子契約システムを導入し、業務効率化を図ることが効果的。

株式会社CAREARCは、2020年からIT導入支援事業者としてさまざまな企業・個人事業主の方のサポートを行ってきました。

通常枠・インボイス対応類型にかかわらず、さまざまなITツールに対応しています。

IT導入補助金の活用を検討している方はお気軽にご相談ください。