はじめに
国や自治体から支援金を受けることができる制度には、補助金、助成金という種類があります。これらの制度は、事業者や個人に対して、経済的な支援や事業の推進を目的としています。しかし、これらの制度の違いや申請方法は、なかなか分かりにくいものです。この記事では、補助金、助成金のそれぞれの特徴や違い、受けるためのポイントを解説します。
補助金とは
補助金とは、国や自治体が、事業者の事業の拡大や新規事業の創出など、さまざまな目標を支援するために、資金の一部を給付する制度です。補助金は、国や自治体の政策目標に合わせて、さまざまな分野で募集されています。例えば、IT導入や環境対策、海外展開などの事業が、補助金の対象となることがあります。
補助金の具体例
補助金にはさまざまな種類がありますが、ここでは中小企業や個人事業主に関係するものをいくつか紹介します。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者が業務効率化や売上アップのためにITツールを導入する際の費用の一部を補助するものです。補助率は2分の1で、最大で450万円まで受けられます。(公式サイトはこちら)
ものづくり補助金
中小企業や小規模事業者が革新的なサービス開発や試作品開発や生産プロセスの改善を行う際の設備投資や技術導入などの費用の一部を補助するものです。補助率は最大2分の3で、最大で1億円(特例などを利用した場合)まで補助が受けられます。(公式サイトはこちら)
小規模事業者持続化補助金
経済産業省が交付する補助金です。小規模事業者が持続的な経営に向けた経営計画に基づく販路開拓や生産性向上などの取り組みを行う際の費用の一部を補助する目的で交付されます。申請が認められれば補助率は3分の2で、最大で250万円まで補助を受けられます。(公式サイトはこちら)
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、中小企業等の新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、または事業再編といった思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等を支援する制度です。最大で1億円まで補助を受けられます。(公式サイトはこちら)
補助金の特徴
補助金の審査が厳しい場合がある。
補助金は、申請要件を満たすだけでなく、審査によって採択・不採択が決まります。審査では、事業計画の内容や効果、独自性や優位性などが評価されます。また、応募者同士の競争もあります。そのため、補助金は、助成金や給付金よりも獲得するのが難しい支援金です。
大きな金額の補助が受けられる。
補助金は、審査が厳しい分、大きな金額の補助を受けられることがあります。例えば、中小企業庁の「ものづくり補助金」では、最大1億円の補助が受けられます。
事前に申請が必要。補助金は、事業を実施する前に、事業計画書や見積書などの書類を作成して申請する必要があります。また、事業の進捗や成果についても、定期的に報告する必要があります。そのため、補助金は、申請や管理に手間がかかる支援金です。
補助金を受けるためのポイント
Point1 自分の事業とマッチする補助金を見つける。
補助金は、さまざまな分野や目的で募集されていますが、すべての補助金が自分の事業に合っているとは限りません。自分の事業の目的や内容、規模や状況などを把握し、それに合った補助金を探すことが大切です。補助金の情報は、経済産業省の「ミラサポplus」や、自治体のホームページなどで確認できます。
Point2 事業計画書をしっかり作成する。
補助金の審査では、事業計画書が重要な書類となります。事業計画書では、事業の目的や内容、効果や予算などを具体的に記載する必要があります。また、事業の独自性や優位性、社会的な意義などをアピールすることも大切です。事業計画書の作成には、補助金の募集要項や申請書の様式を参考にすると良いでしょう。
Point3 専門家に相談する。
補助金の申請や管理は、初めての方にとっては難しいものです。そこで、中小企業診断士や社会保険労務士など、補助金に詳しい専門家に相談することがおすすめです。専門家に相談することで、補助金の選び方や申請方法、事業計画書の作成などのアドバイスを受けることができます。また、専門家に依頼して、申請や管理の代行をしてもらうことも可能です。
助成金とは
助成金とは、主に雇用環境の改善のために設けられた支援金の制度です。非正規社員の正社員登用を促したり、育児休暇の取得を促したりするといった目的のため、このような取り組みを行う企業に対して経費の補助をするのが助成金です。助成金は、社会保険料や雇用保険で賄われており、事業者が日々支払っている社会保険料のリターンと考えることができます。
助成金の具体例
人材開発支援助成金
事業者が従業員の教育訓練やキャリア形成を支援するために、教育訓練費や給与補償費などの一部を助成するものです。助成額は最大で2,500万円までです。(厚生労働省ホームページはこちら)
キャリアアップ助成金
中高年者や女性などの雇用の安定やキャリアアップを支援するために、教育訓練や職場環境の改善などの費用の一部を助成するものです。助成額は1人あたり最大80万円まで支給されます。(厚生労働省ホームページはこちら)
業務改善助成金
業務改善助成金は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。(厚生労働省ホームページはこちら)
助成金の特徴
申請要件に当てはまっていれば申請可能。
助成金は、申請要件に当てはまっている事業者であれば、助成金をもらうことができます。応募者同士の競争はありません。ただし、申請には一定の手間がかかります。申請のために就業規則の変更などが必要な場合もあるからです。申請書を記入するだけでOKとは行かないので、雇用や助成金申請に詳しい社労士に相談しながら申請を進める方が多いです。
事業を実施したあとに申請が可能な場合がある。
助成金は、事業を実施した後に、必要な書類を提出して申請することができます。ただし、申請期限や申請書の様式は、助成金の種類によって異なります。また、事業の実施にあたっては、助成金の要件に沿って行う必要があります。そのため、事業の計画や記録は、事前にしっかりと行うことが大切です。
助成金を受けるためのポイント
Point1 自分の事業とマッチする助成金を見つける。
助成金は、雇用環境の改善に関するさまざまな分野で募集されていますが、すべての助成金が自分の事業に合っているとは限りません。自分の事業の目的や内容、規模や状況などを把握し、それに合った助成金を探すことが大切です。助成金の情報は、厚生労働省のホームページなどで確認できます。
Point2 申請要件を確認する。
助成金は、申請要件に当てはまっている事業者であれば、助成金をもらうことができますが、申請要件は、助成金の種類によって異なります。例えば、正社員登用の助成金では、正社員の割合や年齢などの条件があります。また、就業規則の変更や労働協約の締結などの手続きが必要な場合もあります。そのため、申請要件を確認し、必要な準備を行うことが大切です。
補助金と助成金の違いについて
補助金と助成金との違いをまとめた表になります。
項目 | 補助金 | 助成金 |
主な管轄 | 経済産業省 | 厚生労働省 |
支給目的 | 政策に沿った事業を支援する | 要件を満たした事業を支援する |
申請方法 | 先着順や公募など | 先着順など |
申請書類 | 事業計画書など多数 | 申請書など |
審査 | 条件を満たしていても 審査が厳しい場合が多い | 条件さえ満たしていれば 受給できる可能性が高い |
支給時期 | 後払い | 後払い |
支給額 | 一部補助 数十万〜数億円 | 一部補助 数万円〜数百万 |
使い方 | 目的に限定 | 目的に限定 |
報告 | 必要 | 必要 |
難易度 | 中 | |
多くの種類があり、事業に合ったものを見つけやすい。 大きな資金を調達できる可能性がある。 事業の拡大や自社負担の軽減に役立てられる。 | 条件を満たせばいつでも申請できる。 支給要件を満たしていれば高い確率で受給できる※1 人事や労務に関する経費の補填に役立てられる。 | |
デメリット | 審査が厳しく、申請しても採択されない可能性がある。 公募期間が短く、申請の準備に時間がかかる。 支給までに時間がかかり、事業の進捗に影響する。 | 支給額が低く、事業の規模に見合わない場合がある。 用途が限られており、事業の自由度が低くなる場合がある。 |
補助金、助成金の共通した特徴としては原則、返済不要でお金を受け取ることができます。ただし、補助金や助成金は費用を先に負担した上で支払われるので注意が必要です。
補助金、助成金でどのように申請しようか悩まれている方はぜひ、参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、補助金、助成金の概要とそれぞれの違いについて詳しく解説しました。また、受けやすさや受けるポイントについても紹介しました。これらの支援を活用して、事業の発展や経営の安定に役立ててください。
株式会社CAREARC(キャリアーク)はこれまでIT導入補助金など数多くの企業さまの補助金申請をサポートした実績があります。補助金の申請をしたい方はぜひ一度ご相談ください。