これからECサイトを立ち上げようと考えているが、ECサイトの構築方法や立ち上げにどのようなことが必要かわからない方も多いでしょう。本記事ではECサイトの具体的な立ち上げフローについて説明し、ECプラットフォームごとのメリット・デメリット、ECサイト構築の費用相場について解説します。
ECサイトの構築プラットフォームは複数あるので、本記事で紹介した内容を参考にして理想のECサイトを立ち上げてください。
ECサイト構築の種類|7つの立ち上げ方法
ECサイトの立ち上げ方法は以下の7つの種類にわけることができます。それぞれの特徴を表にまとめました。
構築方法 | 費用 | 特徴 |
---|---|---|
ECモール | 1~10万円 | 安い費用で手軽に出店できる |
ASPカート | 10~100万円 | 比較的手軽にECサイトを開設でき、ECモールよりはカスタマイズができる |
オープンソース | 100~500万円 | 公開されたソースコードを用いてECサイトを構築するためカスタマイズ性が高い |
パッケージ | 500~1000万円 | 自由なカスタマイズができるが費用は高い |
フルスクラッチ | 1000万円~ | ゼロからECサイトを構築する |
クラウドEC | ~100万円 | ASPカートと同じ形式だがよりカスタマイズ性に優れている |
SNS | ~10万円 | 安価な費用でSNSごとの特性に合わせたネットショップが解説できる |
ECサイトの立ち上げフロー|具体的な構築手順
ECサイトの立ち上げフローは以下の通りです。
・手順1.コンセプトを決める
・手順2.要件定義を行う
・手順3.ECプラットフォームを決める
・手順4.集客方法を決める
・手順5.決済方法を決める
・手順6.デザインを作成する
・手順7.システムを構築する
・手順8.テスト運用をする
それぞれの具体的な進め方や重要な点を解説します。
手順1.コンセプトを決める
まずはどんなサイトを作るのか、どんな商品を扱うのか、誰に価値を提供するのかといったコンセプトを明確に定めましょう。これはECサイトに限らずビジネス全般にいえることですが、コンセプトが不明確だとターゲットが定まらずうまくいきません。
コンセプトはその後のすべての工程の根底になり、ここを疎かにするとすべてが無駄になる可能性もあるので、時間をかけてしっかりとしたコンセプトを決めましょう。
手順2.要件定義を行う
コンセプトが決まったら、それを実現するのに必要な機能を洗い出して要件定義をおこないます。要件定義はコンセプトを実現するための具体的な方向性を示す作業であり、計画的にサイト構築を進めるうえで重要な工程です。
実際の業務フローをイメージして細かく定義し、スケジュールに落とし込みましょう。予算や納期も視野に入れ、実現可能な要件定義をおこなうようにしてください。
手順3.ECプラットフォームを決める
ECプラットフォームの選定は、より具体的なサイト構築手順です。のちほど紹介する通り各プラットフォームにはメリット・デメリットがあるので、それを踏まえたうえで最適なプラットフォームを選びましょう。
プラットフォームによって費用も大きく異なるので、現実的に可能なサイト構築手段を選定するためには予算に見合ったプラットフォームを選ぶことも重要です。選定を誤るとプラットフォームの変更を余儀なくされる可能性もあるので、慎重に検討しましょう。
手順4.集客方法を決める
インターネット上には多くのECサイトがあるので、競争に勝つためにはいかにして集客するかを事前に検討しておく必要があります。集客方法としてはSEO対策やインターネット広告、SNSマーケティングなどの方法があるので、コストや戦略に合わせて適切な集客方法を実践しましょう。
複数の集客方法を組み合わせることでより高い効果を発揮するので、リソースに応じてさまざまな集客方法を実践するのもおすすめです。
手順5.決済方法を決める
決済方法はECサイトのユーザーが重視するポイントなので、できる限り充実させることが重要です。利用しやすい決済手段がないECサイトからはユーザーが離脱しやすいので、商品が人気であっても決済手段が不便であれば売れない可能性もあります。
クレジットカード決済はもちろんですが、ID決済を利用するユーザーも多いので豊富に取りそろえるようにしましょう。
手順6.デザインを作成する
デザインは見栄えの良さだけでなく、利便性の高いユーザーインターフェイスにすることを心掛けましょう。コンセプトに合った見た目にすることも重要ですが、見た目にこだわりすぎて使い勝手の悪いECサイトではユーザーが離れてしまいます。
ユーザー視点でサイトを俯瞰し、どうすればスムーズに買い物ができるのかをよく考えてサイトデザインをしましょう。デザイン会社に外注する際は、どんな点を重視しているのかをきちんと伝え、イメージと違うデザインにならないよう認識を共有することが重要です。
手順7.システムを構築する
デザインが決まったら実際にシステムを構築します。システム構築は使用するプラットフォームによっても大きく異なるので、適切な手順でおこなうようにしましょう。ECモールやASPカートであれば簡単にECサイトを作成できますが、オープンソースやパッケージの場合にはコストと時間をかけてサイト構築をおこなうことになります。
作業を進める中で問題点などが出てくることもあるので、その場合には手順を戻って変更し、再度システム構築をおこなっても問題ありません。
手順8.テスト運用をする
システム構築ができたらオープン前にテスト運用をおこないましょう。実際にユーザーが利用するのと同じようにサイトを使ってみて、注文が問題なくできるかどうかを確認するのです。動作に問題ないか、ユーザーにとってわかりにくい点がないかなどをチェックして、改善点があればオープン前に改善します。
決済会社や商品管理との連携にも問題がないか確認し、なにかあれば事前に対処しておくことでオープン後にトラブルが起きることを防ぎましょう。
各ECプラットフォームのメリット・デメリット
下記のECプラットフォームのメリット・デメリットを解説します。
・ECモール
・インスタントEC・ASPカート
・クラウドEC
・オープンソース
・パッケージ
立ち上げの際はメリット・デメリットをよく比較したうえで、最適な構築方法を選びましょう。ちなみにフルスクラッチもあり、もっとも自由なカスタマイズが可能ですが、高い技術力と最低でも1000万円以上の費用が必要であるため、大規模なECサイト開発に向いた方法です。
1.ECモール
ECモールAmazonや楽天市場に代表されるような、複数のネットショップが集まるECサイトです。
メリット
ECモールの出店はサイト構築の知識などがなくても誰でも簡単にでき、費用もそれほどかかりません。手軽にECサイトをはじめられるのはECモールの大きなメリットでしょう。またECモール自体の認知度が高ければ集客力があるというのも特徴です。
このようにECモールは初心者でもはじめやすいプラットフォームなので、とりあえずECサイトをはじめてみるといったときに向いているプラットフォームといえます。
デメリット
ECモールではECサイトのカスタマイズ性が低くオリジナリティが出せないため、独自性が出にくく競合との差別化が難しいというデメリットがあります。そうすると類似した商品を販売する競合との価格競争に陥りやすく、消耗戦になって利益が少なくなってしまいます。
カスタマイズ性の高いECサイトを作りたいのであれば、他のプラットフォームを選ぶのがおすすめです。
2.インスタントEC・ASPカート
ASPカートはショッピングカートの機能などECサイト構築のための基本機能を備えたプラットフォームで、ホームページ制作の技術がなくてもECサイトを作ることができます。
メリット
ASPカートは初期費用・月額費無料のサービスなどもあり、比較的少額でECサイトを立ち上げられます。ホームページ制作機能が付いているのでサイト構築も難しくありません。
ECモールよりカスタマイズ性が高いので、競合との差別化を試みることもできます。
デメリット
ASPカートでは売り上げに応じた手数料がかかり、サポートにもオプション料金がかかる場合が多いため、ECモールと比べてランニングコストがかかります。またカスタマイズ性ではオープンソースに劣るため、大規模なECサイトを構築するのにはあまり向いていないでしょう。
3.クラウドEC
ECサイト構築のための基本機能を備えたプラットフォームであるという点ではASPカートに似ていますが、ASPカートよりカスタマイズ性に優れているという特徴があります。
メリット
クラウドECはクラウド上でECサイト制作ができるため、最新システムを利用してサイトを構築できます。ブラウザ上でサイトを制作できるのでサーバーも必要ありません。
またASPカートよりもカスタマイズ性に優れているのも特徴であり、ASPカートのカスタマイズ性に物足りない場合にはクラウドECを使ってみてもよいでしょう。
デメリット
クラウドECは初期費用がASPカートよりも高いうえ、ランニングコストも数十万円かかるので費用が高いのがデメリットです。そのためクラウドECは比較的大規模なECサイト構築で利用される場合が多く、売り上げ規模が1000万円以上の場合に検討すればよいでしょう。
またクラウドECはソースコードの開示がないため、自社で保守管理するには不便といえます。
4.オープンソース
オープンソースは、外部に公開されたプログラムのソースコードを使うソフトウェアの構築手法です。オープンソースを活用したECサイトはカスタマイズ性に優れているのが特徴です。
メリット
オープンソースを活用すれば、公開されているソースコードを使ってカスタマイズ性の高いECサイトが作成できる点です。フルスクラッチのように一から構築するのに比べれば、大幅なコストダウンになるでしょう。
高い技術力があれば、オリジナリティあるECサイトを低予算で構築することも可能です。
デメリット
オープンソースを使うにはプログラミングスキルが必要なので、技術力がないと使いこなすのが困難なのがデメリットです。オープンソースにはマニュアルがない場合も多く、サポートを受けられないこともあるので、自社で保守管理できる環境がないとトラブルに対処できない可能性があるでしょう。
オープンソースを活用すれば低予算でよいサイトを構築することもできますが、上級者向けであるといえます。
5.パッケージ
パッケージはECサイトの構築に必要な機能が備わったソフトを購入し、サイト構築する手法です。
メリット
パッケージはカスタマイズが自由であるため、高品質のECサイトを作れるというメリットがあります。多くの場合高いコストをかけてサイト構築をおこなうため、独自性のあるECサイトを立ち上げることが可能です。
またソースコードは公開されないので、セキュリティ面で安心できるというのもメリットでしょう。
デメリット
カスタマイズやインフラ環境の整備など初期費用が大きくなる場合が多いので、小規模なECサイトには不向きでしょう。社内に高い技術力を持った人材がいなければECサイト構築は困難です。
またクラウドECと違ってクラウド上でサイト制作をおこなうわけではないので数年おきにリニューアルが必要であり、その際にも費用がかかるのもデメリットといえます。
ECサイト構築の費用相場
ECサイトの立ち上げ費用は構築方法によって大きく異なり、簡単なものであれば数万円から作成が可能ですが、<大規模なものだと1,000万円以上/span>かかります。たとえばモールでECサイトを立ち上げるのであればサイト構築は必要ないので、10万円以下でも可能でしょう。
ASPカートもブラウザ上で簡単にECサイトを立ち上げることができ、ホームページ作成に必要なことは機能として備わっている場合が多いので、数十万円で作成が可能です。オープンソースやパッケージになると立ち上げに必要なことも増え、100万円以上かかるようになってきます。
ECサイト構築の費用相場について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ECサイトを成功させる秘訣
ネットショップでは商品を手にとってみることができないという難点があるのでユーザーの不安要素を払拭するよう工夫した設計にすることが重要です。商品購入後のイメージを沸かせ、購買行動にうまく繋げることが成功の秘訣でしょう。
そのほかにも同ジャンルの競合分析やSEO対策、SNSの活用などいくつかの秘訣がありますが、大事なことは自社のECサイトの特徴とターゲットに合わせて最適な施策を実践することです。
ECサイトを成功させる秘訣については以下の記事でも詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。
まとめ
ECサイト構築にはいくつかの種類がありますが、規模が大きいほどコストがかかるので正しい手順でしっかり構築を進めることが重要です。各ECプラットフォームにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どのようなECサイトを構築したいかによって適切なプラットフォームを選択するようにしましょう。
本記事を参考に、費用相場に合わせた最適なECサイトを構築してください。