製造業におけるITツール導入はどの申請枠？
製造業のIT導入補助金の申請事例は？
製造業でIT導入補助金の活用を検討している企業担当者や個人事業主の方もいるでしょう。
本記事では、製造業のDXの現状や課題から具体的なITツール例、申請枠を紹介します。
補助率や補助額、申請シミュレーションなど網羅的にまとめているため、ぜひ参考にしてください。
製造業におけるDXの課題や現状は？
製造業におけるデジタル化は、IoTやAI、クラウド技術の活用により、生産効率や競争力の向上を目指して進展しています。
リアルタイム監視や品質管理の自動化、データ統合による迅速な意思決定が可能となり、カスタマイズ製品の生産やサービス型ビジネスモデルへの移行も進んでいます。
しかし、経営層の理解不足や明確な戦略の欠如、既存システムとの統合の困難さ、IT人材の不足、セキュリティリスク、初期投資の高さといった課題が障壁となっているのが現状。
今後は、IT人材の育成や教育、サプライチェーンのデータ連携の標準化、パイロットプロジェクトの活用、中小企業向けの支援策強化が必要です。
また、IT企業との連携や政府の支援を活用しながら、経営層のリーダーシップと現場の意識改革を進め、デジタル化を競争力の源泉として活用することが求められます。
IT導入補助金は、製造業のデジタル化を推進するための強力な支援策です。
導入コストの一部を補助することで、中小企業でもIoTやAI、クラウド技術などの最新ツールを導入しやすくします。
生産性向上や業務効率化が可能になり、データ活用やセキュリティリスクへの対応も支援。また、段階的なツール導入を支援することで、リスクを抑えながらDXを進める基盤を築けます。
特に資金や技術が限られる企業にとって、手軽にデジタル化を始められる重要な助けとなるでしょう。
製造業でよく申請されるIT導入補助金2025の対象ITツール。特化ソフトウェアも紹介
製造業に特化したソフトウェアや人気のITツールをまとめました。
導入ツールを悩んでいる、検討中の方はぜひ参考にしてください。
製造業でもよく申請させるITツール。会計ソフトや勤怠管理システム
業種・業界に関わらず、製造業でもよく申請されているITツール例を以下にまとめました。
それぞれの特徴もまとめているため、参考にしてください。
| ソフトウェア | 特徴 | 詳細記事 |
|---|---|---|
| freee | クラウド型会計ソフトで経理業務を効率化、銀行やカードと連携可能で自動化対応。 | 詳細はこちら |
| マネーフォワード | 多機能な財務管理ソフトでインボイス制度や決算業務を支援、リアルタイム管理が可能。 | 詳細はこちら |
| 弥生会計 | 中小企業向けの会計ソフトで、簡単な操作性と豊富な機能で日々の財務管理をサポート。 | 詳細はこちら |
| 楽楽販売 | 受発注・在庫・売上管理を一元化し、業務効率化と自動化で事業運営を最適化するツール。 | 詳細はこちら |
| ジョブカン勤怠管理 | 打刻、シフト管理、休暇申請を一括管理でき、労働時間の見える化を実現するシステム。 | 詳細はこちら |
| Salesforce | 顧客情報、営業活動、マーケティングを統合管理し、データ活用で顧客対応を最適化するCRM。 | 詳細はこちら |
製造業に特化したソフトウェア。生産性向上ITツール
製造業に特化したソフトウェアの例を以下にまとめました。
それぞれの特徴もまとめているため、検討している方などはぜひ参考にしてください。
| ソフトウェア | 特徴 |
|---|---|
| Asprova | 生産スケジューリングソフト。製造ラインの工程を最適化し、多品種少量生産に対応。 |
| Factory-ONE | 中小製造業向け生産管理システム。生産計画から在庫、原価管理までを統合的にサポート。 |
| Zoho Inventory | 在庫管理ソフト。リアルタイムで在庫を追跡し、注文管理や出荷プロセスを効率化。 |
| AutoCAD | 2Dおよび3D設計ソフトウェア。製造業での設計図作成や詳細図面の作成に最適。 |
| SOLIDWORKS | 3D CADソフト。設計からシミュレーションまで幅広い製造業のニーズに対応。 |
| Microsoft Dynamics 365 | ERP/CRMソリューション。生産、在庫、販売、人事などを統合管理し、製造業の効率化を支援。 |
| Power BI | データ分析・可視化ツール。製造業の稼働データや業務データを分析し、意思決定をサポート。 |
| QC&SPC | 品質管理（QC）と統計的工程管理（SPC）を支援するソフトウェア。データ収集と解析によって、工程のばらつきを監視し、不良品を減らす。 |
| HPGL-Plot | HPGL形式の図面データを表示・編集するソフトウェア。製造業の設計図管理や加工データの確認に利用される。 |
| ConMas i-Reporter | ペーパーレスの現場帳票作成ツール。製造現場の作業報告書や点検記録をデジタル化し、業務効率を向上させる。 |
| 外観検査AI | AIを活用した自動外観検査ソフトウェア。製品の表面欠陥や異常を高速かつ高精度に検出し、検査コストを削減。 |
| BUILDYNOTE | 製造業向けの設備管理・予防保全ツール。設備データの可視化と保全スケジュールの最適化に特化。 |
| SHARK LT | 3D CADソフトウェア。設計・製造プロセスでの簡易モデリングや図面作成に利用されるエントリーレベルのツール。 |
| Autodesk FUSION | クラウドベースの3D CAD/CAM/CAE統合ツール。設計からシミュレーション、製造までを一貫してサポートし、コラボレーションを容易にする。 |
| RPAツール | ロボティック・プロセス・オートメーションツール。定型業務を自動化することで、工場の事務作業やデータ処理を効率化。 |
| スマートマットクラウド | IoTセンサーを活用した在庫管理ツール。重量で在庫状況をリアルタイムに把握し、在庫不足や過剰を防止。 |
IT導入補助金2025が活用できる製造業の対象条件
IT導入補助金が活用できる製造業の中小企業・小規模事業者の対象者は以下のとおりです。
自社が対象事業者なのかは必ず確認してください。
中小企業
| 業種 | 資本金 | 従業員 |
|---|---|---|
| 製造業 | 3億円 | 300人以下 |
| ゴム製品製造業※ | 3億円 | 900人以下 |
※自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く
小規模事業者
| 業種 | 従業員 |
|---|---|
| 製造業その他 | 20人以下 |
製造業で申請できるIT導入補助金2025の枠は？補助率や補助額など紹介
先述したITツールやその他ソフトウェアは基本的に「通常枠・インボイス対応類型」で申請されるのがほとんどです。
以下、各申請枠についてまとめているため、チェックしてください。
通常枠：製造業の特化ソフトウェアは基本的にこちら
| 項目 | 通常枠A類型 | 通常枠B類型 |
|---|---|---|
| 補助率 | 1/2〜2/3 | |
| 補助額 | 5~150万円未満 | 150~450万円以下 |
| 必要プロセス | 1つ以上 | 4つ以上 |
| 賃上げ目標 | 加点 | 必須 |
| 対象経費 | ・ソフトウェア 購入費、クラウド利用費（最大2年分） ・オプション ・導入関連費 | |
本記事でも紹介した、製造業に特化したソフトウェアは、基本的に通常枠での申請となります。
具体的な補助率や補助額は上記表のとおりです。
ソフトウェアの費用はもちろん、導入サポートや保守サポート費用も対象となります。
50〜66%補助されるため、ぜひ活用してください。
インボイス対応類型：製造業で会計や決済、受発注ソフト導入はこちら
| 項目 | インボイス対応類型 | |
|---|---|---|
| 補助額・補助率 | 会計・受発注・決済ソフト | 【小規模事業者】 ・50万円以下：4/5 ・50〜350万円以下：2/3 【中小企業者】 ・50万円以下：3/4 ・50〜350万円以下：2/3 ※50万円以下は1、50〜350万円は2機能以上を有するのが必須 |
| PCやタブレット | ・10万円以下：1/2 | |
| レジや販売機 | ・20万円以下：1/2 | |
| 対象経費 | ・ソフトウェア 会計・受発注・決済ソフトウェアの購入費、クラウド利用費（最大2年分） ・オプション ・導入関連費 ・ハードウェア | |
freee会計やマネーフォワード、弥生会計など、「会計・受発注・決済」機能を有しているソフトウェアの導入はインボイス対応類型で申請できます。
補助率も高く、パソコンやタブレットなども対象経費です。
そのため、製造業における基本的な業務ツールをすでに導入済みで、会計ソフトなどを新たに取り入れたい方には特におすすめです。
製造業でIT導入補助金を活用した事例
IT導入補助金を活用した製造業の申請事例を3つ紹介します。
具体的な料金シミュレーションをチェックして、自社の申請時に役立ててください。
製造業における申請事例①
インボイス対応類型
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| freee会計 スタンダード | 215,520円/2年間 |
| 導入サポート | 500,000円 |
| 保守サポート | 360,000円 （3万円x12か月） |
| パソコン購入 | 200,000円 |
| ソフトウェアや導入関連費の補助額 | 772,568円 |
| パソコンの補助額 | 100,000円 |
| 合計の申請額 | 1,275,520円 |
| 合計の補助額 | 872,568円 |
| 実費 | 402,952円 |
製造業における申請事例②
通常枠で申請
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 弥生会計 ベーシックプラン | 75,200円/2年間 |
| RPAツール EzRobot | 1,200,000円/2年間 |
| 導入サポート | 500,000円 |
| 保守サポート | 600,000円 （5万円x12か月） |
| 合計の申請額 | 2,375,200円 |
| 合計の補助額 | 1,187,600円 |
| 実費 | 1,187,600円 |
製造業における申請事例③
通常枠で申請
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| ジョブカン勤怠管理 | 52,800円/2年間 |
| ジョブカン給与計算 | 52,800円/2年間 |
| AutoCAD Plus | 462,000円/2年間 |
| 導入サポート | 500,000円 |
| 保守サポート | 600,000円 （5万円x12か月） |
| 合計の申請額 | 1,667,600円 |
| 合計の補助額 | 833,800円 |
| 実費 | 833,800円 |
製造業でIT導入補助金2025を申請する手順
ITツール導入を進める際は、実績のあるIT導入支援事業者を選定し、早めに「gBizIDプライム」を取得してください。
また、WEBで「SECURITY ACTION」の宣言を実施し、支援事業者とともに申請書類を作成・提出、不備がないよう確認が重要です。
交付決定後に通知書が発行されてから該当サービスを発注・契約し、全額自己負担で支払います。
導入後は事業実績を報告し、補助金支給手続きに進むため速やかな対応をしましょう。
製造業でIT導入補助金2025を活用してITツールを導入するメリット
製造業がIT導入補助金を活用してITツールを導入することで、業界特有の課題を解決し、以下のようなメリットを得られます。
まず、IoTやAIを活用することで、生産ラインの稼働状況が可視化され、設備の稼働効率や生産スケジュールの最適化が可能になります。これにより、無駄な作業を削減し、生産性が向上します。
また、リアルタイムのデータ監視や分析により、不良品の予防や品質管理の精度が向上し、迅速なトラブル対応が可能。
サプライチェーン全体でのデータ共有を進めることで、取引先との連携が強化され、需要予測の精度がアップ。過剰生産や欠品を防ぎ、効率的な在庫管理や生産計画が実現します。
さらに、自動化ツールやロボット技術の導入により、人手不足の課題を解消し、作業の効率化や従業員の負担軽減が図られます。
補助金を活用することで、段階的なITツール導入が可能となり、リスクを抑えながらデジタル化を進めることができます。
まとめ
製造業におけるDXの推進では、IoTやAI、クラウド技術の活用が重要です。しかし、IT人材不足や初期投資の高さなどが課題として挙げられます。
IT導入補助金を活用することで、最新のITツールを導入しやすくなり、生産性向上や業務効率化が実現。
導入するITツールによって申請枠が異なり、補助率や補助額が変わります。
CAREARCでは、支援事業者としてさまざまなソフトウェア導入のサポートを行っています。
業種業態問わず、ご相談から申請サポート、アフターフォローを実施しているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
