個人経営の飲食店もIT導入補助金は活用できる?
POSレジと合わせてパソコンの導入もできる?
飲食店を営んでいる方でIT導入補助金の活用を検討している方も多いでしょう。
本記事では、飲食店におけるIT導入補助金の申請枠や補助額・補助率、対象事業者などを網羅的にまとめています。
また飲食店で人気の対象ITツールや申請シミュレーション、IT導入補助金の申請手順、よくある質問についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
IT導入補助金2025が対象となる飲食店の条件

IT導入補助金2025では、中小企業・小規模事業者(個人事業主、個人経営)が対象です。
個人事業主であっても、開業届を提出していれば申請可能。
またIT導入補助金2025を申請するには、開業して1年以上経過している必要があります。
事業者区分 | 主な要件 |
---|---|
中小企業 | ・資本金5,000万円以下 ・従業員数100人以下 |
小規模事業者 個人事業主 | ・従業員数が5人以下 |

飲食店で申請できるIT導入補助金2025の申請枠!補助額や補助率を紹介

飲食店が活用できる申請枠は主に以下の2つで、補助額・補助率をまとめました。
申請枠 | 補助額 | 補助率 | 対象ツール |
---|---|---|---|
インボイス対応類型 | ~350万円 | 【中小企業】 ・50万円以下:3/4 ・50〜350万円以下:2/3 【小規模事業者】 ・50万円以下:4/5 ・50〜350万円以下:2/3 | ・会計、決済、受発注機能有するソフト ・PCやタブレット、レジなどのハードウェア |
通常枠 | ・A類型:5万~150万円 ・B類型:150万~450万円 | 1/2〜2/3 | 業務効率化システム ※ツールによって要件が異なる |
※インボイス対応類型:50万円以下は1機能、50〜350万円は2機能以上を有するのが必須
※通常枠:3か月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者は補助率2/3。
※通常枠の要件の詳細
①顧客対応・販売支援
②決済・債権債務・資金回収管理
③供給・在庫・物流
④会計・財務・経営
⑤総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情報システム
⑥その他業務固有のプロセス
⑦汎用・自動化・分析ツール
IT導入補助金の対象となるツールは、あらかじめ「IT導入支援事業者」に登録されたツールのみです。自社で購入・設定したPCやソフトは対象外となるので注意しましょう。
飲食店の多くは、「インボイス対応類型」での申請となり、補助率や採択率、対象経費などの観点からもおすすめです。
以下で詳細をまとめているため、ぜひ参考にしてください。
インボイス対応類型はパソコンやタブレットも申請可能
IT導入補助金2025の「インボイス対応類型」では、POSレジや会計ソフトなどとセットで、ハードウェア(パソコンやタブレット、レジ等)も補助対象となります。
補助の対象となるハードウェアは、ソフトウェアとのセット申請が必須です。ハードウェア単体では申請できません。
補助対象機器 | 補助率 | 最大補助額 |
---|---|---|
パソコン・タブレット | 1/2 | 10万円 |
レジやプリンタ、券売機など | 1/2 | 20万円 |

飲食店におすすめのIT導入補助金2025が活用できるITツール

IT導入補助金2025では、飲食店が日常業務の効率化・省人化・売上向上を目指してさまざまなITツールを導入する際に活用できます。
以下に代表的なツールとそれぞれのメリットを紹介します。
・POSレジ
・在庫管理システム
・予約管理システム
・顧客管理システム
・勤怠管理システム
・会計ソフト
POSレジ
POSレジは、注文や会計、売上分析を一元管理できるレジシステムです。
飲食店ではオーダーの記録やレジ締め作業、売上集計などの業務を効率化できるため、スタッフの業務負担を軽減し、ヒューマンエラーの削減にもつながります。
また、セルフオーダー機能やモバイルオーダー、キャッシュレス決済との連携が可能なものも多く、非接触型の注文・決済体制を構築できます。
・スマレジ
・Square(スクエア)
・Airレジ
・POS+(ポスタス)

セルフオーダーシステム
セルフオーダーシステムは、客席のタブレットやお客様のスマートフォンから注文ができる仕組みです。
人手をかけずに注文業務を回せるため、スタッフ不足の飲食店に最適。注文ミスの防止にも効果的です。
モバイルオーダーシステム
モバイルオーダーは、来店前にスマホから注文・決済を済ませることができる機能です。
テイクアウト対応や混雑緩和に有効で、待ち時間のストレスを軽減できます。
キャッシュレス決済システム
キャッシュレス決済機能は、QRコード決済や電子マネー・クレジットカードなどに対応し、会計業務のスピードアップと客単価向上を期待できます。
インバウンド対応にも効果的です。
在庫管理システム
在庫管理システムは、食材や資材の入出庫・消費状況をリアルタイムで管理できるツールです。
食材のロス削減や在庫切れの防止に貢献し、無駄な発注を減らすことで原価管理の精度が向上します。
特に複数店舗を運営している飲食事業者にとっては、在庫情報の一元管理が大きなメリットになります。
・スマレジ在庫管理
・アラジンオフィス(アイル)
・zaico
予約管理システム
予約管理システムは、電話・Web・SNSからの予約情報を自動で取り込み、一元管理できるクラウド型サービスです。
繁忙時間帯の混雑を予測した事前調整や、無断キャンセルの抑止につながるリマインド通知機能なども搭載されています。飲食店では、来店数の安定化や業務効率化に直結します。
・TableCheck
・トレタ(株式会社トレタ)
・STORES予約
顧客管理システム
顧客管理システムは、来店履歴や注文傾向、誕生日などのデータを蓄積し、個別の販促施策に活用できるツールです。
リピーター育成やクーポン発行、LINE連携でのアプローチなど、ファン作りに重要な役割を果たします。
顧客との関係を深めることが、安定した売上と高いLTV(顧客生涯価値)につながります。
・LINE公式アカウント
・UTAGE(ウタゲ)


勤怠管理システム
飲食店ではアルバイトスタッフが多いため、シフト管理や出退勤の集計にかかる労務負担が大きくなりがちです。
勤怠管理システムを導入することで、スマホやICカードでの打刻、シフトの自動作成、法定労働時間の自動チェックなどが可能になります。人件費管理と労働環境の整備に有効です。
・KING OF TIME
・ジョブカン勤怠管理

会計ソフト
会計ソフトは、売上・経費・給与などの取引情報を自動で仕訳・記帳し、日々の経理業務を効率化するクラウド型ツールです。
税理士とのデータ連携や、インボイス制度・電子帳簿保存法への対応機能も整っており、事業継続性の強化にもつながります。
飲食店では、売上や原価の見える化が進むことで、経営判断のスピードが上がります。
・マネーフォワード クラウド会計
・freee会計
・弥生会計オンライン

飲食店のIT導入補助金の料金シミュレーション

飲食店でよくある課題とそれを解決する導入ツール、それによる業務改善効果、そして補助金を活用した料金シミュレーションを3つの事例として紹介します。
あくまで例となるため、参考程度にしてください。
事例①スマレジ×モバイルオーダーで注文業務を効率化
インボイス対応類型:中小企業
項目 | 金額 |
---|---|
スマレジフードビジネスプラン | 290,400円/2年間 |
マネーフォワード クラウド スモールビジネス | 71,520円/2年間 |
役務(導入・マニュアル設定や保守サポート) | 1,000,000円 |
タブレット購入 | 150,000円 |
ソフトウェアや導入関連費の補助額 | 963,502円 |
タブレットの補助額 | 75,000円 |
合計の申請額 | 1,511,920円 |
合計の補助額 | 1,038,502円 |
実費 | 473,418円 |
中規模の定食屋では、注文の聞き取りミスやレジ締めの手間が日常的な課題でした。スタッフが少ない時間帯は注文を取りに行くのも一苦労で、ピーク時には対応しきれないこともありました。
そこで、タブレットによるモバイルオーダーと連携可能な「スマレジ フードビジネスプラン」を導入。タブレット端末をテーブルに設置し、客が自身で注文を入力する方式に変更しました。
その結果、スタッフの業務負担が軽減され、オーダーミスが激減。会計や売上集計も自動化され、レジ締めの効率も大幅に改善しました。
業務効率が大きく向上したことにより、導入初月から回転率が上がり、売上も上昇傾向に転じています。


事例②Squareでキャッシュレス&非接触対応を実現
インボイス対応類型:小規模事業者
項目 | 金額 |
---|---|
Square リテールPOSレジ プラス | 144,000円/2年間 |
役務(導入・マニュアル設定や保守サポート) | 500,000円 |
Square レジスター | 84,980円 |
ソフトウェアや導入関連費の補助額 | 500,000円 |
レジの補助額 | 42,490円 |
合計の申請額 | 728,980円 |
合計の補助額 | 542,490円 |
実費 | 186,490円 |
都市部でテイクアウトを中心に営業するカフェでは、現金のみの決済体制がネックとなり、キャッシュレス対応を希望する顧客を取りこぼすケースがありました。特に訪日観光客やビジネスパーソンの利用が多いため、会計時間の短縮と非接触決済への対応が急務でした。
この課題に対し、Squareの「リテールPOSレジ プラス」と、iPad・レジ端末(Square レジスター)をセットで導入。クレジットカード、QR決済、交通系ICカードなど幅広い支払い方法に対応したことで、会計時の行列が解消され、顧客満足度も向上しました。
非接触対応のアピール効果もあり、新規顧客の来店数が増えています。

事例③スマレジ×freee会計で経理業務を自動化
インボイス対応類型:小規模事業者
項目 | 金額 |
---|---|
freee会計 スターター | 131,520円/2年間 |
スマレジ プレミアム | 132,000円/2年間 |
役務(導入・マニュアル設定や保守サポート) | 800,000円 |
タブレット購入 | 150,000円 |
ソフトウェアや導入関連費の補助額 | 792,346円円 |
パソコンの補助額 | 75,000円 |
合計の申請額 | 1,213,520円 |
合計の補助額 | 867,346円 |
実費 | 346,174円 |
個人経営の居酒屋では、これまでレジでの売上管理と、月末に紙のレシートをもとに手作業で仕訳・帳簿付けを行っていました。時間と手間がかかるうえに、ミスも多く、税理士への報告にも毎回手間取っていたことが悩みでした。
そこで、POSレジとして「スマレジ」、会計ソフトとして「freee会計 スタータープラン」を導入し、売上データが自動でクラウド上に連携される環境を構築しました。
さらに、タブレットと会計ソフトの導入支援も含めて申請し、経理業務をほぼ全自動化。結果として月に5時間以上の業務削減につながり、税理士との連携もスムーズになりました。
業務改善効果と経理トラブルの減少で、長期的に見ると十分に費用対効果の高い投資といえます。

飲食店のIT導入補助金2025の申請方法と手順

IT導入補助金2025を活用して飲食店にITツールを導入するには、以下のようなステップで進める必要があります。
申請には事前準備やツールの選定、支援事業者との連携が不可欠です。ここでは、一般的な申請の流れと注意点を解説します。
まずは業務上の課題(例:注文ミス、レジ締めの負担、人手不足など)を明確にし、解決策となるITツールを選定します。
IT導入支援事業者経由で申請しなければいけません。そのため、希望するITツールを取り扱う支援事業者を見つけ、相談しましょう。
「gBizIDプライム」アカウントが必要です。取得には1〜2週間かかることもあるため、早めに申請しておきましょう
支援事業者とともに、導入目的や課題、期待する効果などを記載した事業計画を作成します。財務情報の入力なども必要です。
gBizIDでログインし、事業者情報・補助対象経費・ツール内容などを入力。内容を確認し、申請を行います。
交付決定通知が届いてから、ツールの契約・発注を行います。
※交付前の契約・購入は補助対象外となるため注意が必要です。
導入完了後、支援事業者とともに報告書を作成し、補助金の交付申請を行います。

飲食店でIT導入補助金2025を活用するメリット

IT導入補助金2025を活用することで、金銭面的なメリット以外にもさまざまな利点があります。
それぞれまとめているため参考にしてください。
・初期コストの大幅な軽減
・導入から申請・運用までサポートが受けられる
・最新の業務改善ツールを試しやすい
・複数ツールの一括導入・連携が可能
メリット① 初期コストの大幅な軽減
IT導入補助金2025では、ソフトウェアの導入費用に対して、2/3〜で4/5の補助が受けられます。
例えば、50万円のPOSレジシステムを導入する場合、小規模店舗であれば実質負担は10万円に抑えられます。
また、パソコンやタブレット、レシートプリンターなどのハードウェアにも補助が適用され、補助率は1/2、最大で20万円まで支援されるため、全体の導入コストを大きく下げることができます。
メリット② 導入から申請・運用までサポートが受けられる
補助金の申請は複雑そうに感じるかもしれませんが、IT導入補助金に登録された「IT導入支援事業者」が申請サポートを行うため、専門知識がなくても安心して申請を進められます。
ツール選定、導入計画の作成、実績報告などの事務作業も支援事業者と二人三脚で進めるため、補助金や導入ITツールの知識がない方でもスムーズな導入が可能。
サポート範囲は支援事業者によって異なるため、実績のある業者へ依頼するのがおすすめです。

メリット③ 最新の業務改善ツールを試しやすい
「本当にうちの店に合うのか分からない」「費用対効果が心配」という理由で導入をためらう飲食店も少なくありません。補助金を活用すれば、最新のツールをリスクを抑えて導入・試用することができます。
特に、セルフオーダーやモバイル決済、在庫管理連携など、最新の業務支援ツールはコストがネックになりがちですが、補助金でハードルを下げれば一気に導入が現実的になります。
メリット④ 複数ツールの一括導入・連携が可能
補助金は、単一のソフトウェアだけでなく、POSレジ+会計ソフト+予約システムなど、複数のツールを組み合わせて導入することも可能です。
業務全体を一気に効率化することで、部分的な改善にとどまらず、店舗運営そのものを根本から最適化できます。
また、ツール同士のデータ連携によって、売上・在庫・経費の一元管理が可能になり、経営判断のスピードも向上します。

飲食店でIT導入補助金2025を活用する際の注意点

IT導入補助金2025は、申請から導入までにはいくつかの重要なルールや制限があります。
条件を満たしていないと補助金が受けられないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
ここでは、飲食店が補助金を活用する際に特に注意すべきポイントを解説します。
・補助金の申請はIT導入支援事業者へ依頼する
・パソコンやタブレットのみの申請はできない
・すでに有料プランのITツールを使用している場合は要注意
注意点①補助金の申請はIT導入支援事業者へ依頼する
IT導入補助金は、自社で自由にITツールを購入して申請するものではなく、「IT導入支援事業者」と呼ばれる事業者を通じて申請・導入を行う必要があります。
これらの支援事業者は、国に登録された公式のパートナーであり、申請に必要な手続きや事業計画の作成などをサポートしてくれます。
導入したいITツールが補助金の対象かどうかを確認するためにも、まずは支援事業者を見つけて相談することが第一歩です。
支援事業者経由でなければ申請は一切受け付けられませんので、導入ルートには十分注意しましょう。

注意点②パソコンやタブレットのみの申請はできない
IT導入補助金2025では、パソコンやタブレットといったハードウェアのみを購入して申請することはできません。
これらの機器を補助対象とするには、補助金対象のソフトウェア(例:POSレジ、会計ソフトなど)とセットでの申請が必要です。
また、ハードウェアについても補助上限額が決まっており、パソコン・タブレットは最大10万円、レジ端末などは最大20万円が限度となっています。
購入先は支援事業者となり、自分で先に購入すると補助対象外になるので注意しましょう。

注意点③すでに有料プランのITツールを使用している場合は要注意
すでに有料で使用中のITツールについては、補助金を活用できません。
例えば、すでに有料プランのPOSレジを利用している場合、同一サービスのプラン更新は対象外ですが、別サービスへの移行やプランのアップグレードであれば対象となる可能性があります。
このように、「すでに使っているツールの扱い」が補助金対象になるかはケースごとの判断が必要ですので、申請前にIT導入支援事業者へ相談し、対象かどうかを確認しておきましょう。
IT導入補助金2025を検討している飲食店のよくある質問

IT導入補助金2025を活用したいと考える飲食店の方々からは、制度の対象範囲や具体的な申請方法に関して多くの質問が寄せられています。
ここでは、特に相談の多い代表的な質問についてわかりやすくお答えします。
・個人経営の飲食店でも申請できる?
・無料プランから有料プランへの切り替えで申請できる?
・複数のITツールをまとめて申請することはできる?
個人経営の飲食店でも申請できる?
はい、個人事業主として経営している飲食店でも申請可能です。
IT導入補助金2025は、「中小企業・小規模事業者」が対象であり、個人事業主も小規模事業者として含まれます。
ただし、申請は開業して1年以上経過していることが必須。理由としては、申請する際に、確定申告書を提出する必要があるためです。

無料プランから有料プランへの切り替えで申請できる?
有料プランへの「新規契約」であれば、申請できる可能性があります。
IT導入補助金では、すでに無料で使用しているツールでも、新たに有料プランへ切り替える場合は補助対象になるケースがほとんどです。
ただし、すでに契約している有料プランの更新・継続契約については対象外です。
判断が微妙な場合は、必ずIT導入支援事業者を通じて「対象範囲かどうか」確認することをおすすめします。
複数のITツールをまとめて申請することはできる?
はい、複数のツールをまとめて申請することが可能です。
IT導入補助金では、業務の一連の流れを改善するための複数ツールをセットで申請することが推奨されています。
例えば「POSレジ+会計ソフト+予約管理システム」のように、複数のソフトウェアを同時に導入することで、トータルな業務効率化が実現できます。
ただし、ITツールによっては、申請枠が異なるため、例えばインボイス対応類型での申請を行う際は、導入ツールがインボイス枠の対象かどうか確認しましょう。
わからない場合は、支援事業者に確認するとよいです。
まとめ。飲食店におけるIT導入補助金2025の申請はお任せください
IT導入補助金2025は、飲食店の業務効率化やコスト削減、非接触対応の推進に活用できる非常に有効な制度です。
補助率が高く、初期費用の負担を抑えながら最新のITツールを導入できますが、申請には専門的な手続きや条件の確認が必要。
当社は、これまで累計500社以上の申請を行っております。
多くのITツールにも対応しているため、複数のITツールを申請したい方はぜひお任せください。